Philosophy

むこの光芒に、立つ

かつての参道のような山の道は、

森と人が常に連続していた

光と風の通い路には、

ちいさな実生がひらく

夏は樹冠に覆われ木漏れ日と陰翳が、

冬には葉が落ち透明な大気が森を覆う

人が離れて久しいが、

この森は、営みと人との関係を明確に刻印していた。

この地の霊性を帯びたその美しさに

わたしはつよく魅了された。

いわ座のような、磐石な地層が折り重なる大地

ある境から、温度や響きの体感が異なる

渾々と内側に湧き出すおそれをいなしながらも

六甲(むこ)山に染み付いた記憶を手繰り寄せては

その気配に覆われ、また、吐き出されて

その光芒に身を委ねる。

いのりや行為や孤独とともに、

ここで生きてゆく

生死の循環するこの森で、

人として生まれた意味と

その本懐に向き合う